音の比較の時には気をつけて
ペダル(エフェクター)の繋ぎ順で音が変わるのは当たり前の話しですが、ここでいう繋ぎ順はテストや試奏等、音の比較の時の繋ぎ方の話しです。
Woody and Dutch on the slow train to Peking Photo by George Goodnight
きっかけはフリーザトーンの林さんのつぶやき。
フリーザトーン・今日のつぶやき(108) エフェクターを直列に接続し、それぞれをON/OFFして音質を比較する場合は、各エフェクターの回路が前後に通過した上での比較になりますので、正確な音質比較にはなりません。接続順を入れ換えると音質もまた変わります。
— 林 幸宏 (Yuki Hayashi) (@yhayashifrtt) June 22, 2012
そうなんですよね。
判っちゃいるけど、つい面倒で直列に繋いで試奏してしまう。
そこまで変わらないだろ…という油断。
それが大間違いでした。
歪み系は要注意
経験上、歪み系のペダルは特に注意が必要に思います。
繋ぎ方を変えると顕著に音が変わってしまう事が間々ありました。
JEMINIとPinnacleの場合
最近試したペダルではこんな例を挙げてみます。
※電子的な事は詳しくないので、大雑把になりますがお許しを。
IbanezのJEMINIとWamplerのPinnacleを試した時の音の違いです。
PinnacleはGAINを上げると音が潰れてくる様になっています。
※グシャグシャに潰れるというのでは無く、コンプレッションがかかるという意味。
アタック部分でグッと圧縮された感じの音です。
Pinnacleの前段にJEMINIを繋ぐと、その潰れ方が強くなり過ぎてしまいます。(もちろんJEMINIはOFFです。)
グッと圧縮ではなく、ンッと音が出遅れるような感じ。
アタックが無さ過ぎてギターの音が他の楽器の音に埋もれてしまい、奥まった感じで聞こえてきません。
もうそれ以前にギター単体でも気持ちよく弾けない音。
JEMINIを外すと、普通に聞ける音になります。
極端な言い方になってしまいますが、JEMINIを前段にいれてしまうとPinnacleは使えない音が出てきてしまうという事。
くれぐれも間違えないで欲しいのですが、これはJEMINIが悪いのではありません。
パッシブとアクティブに気をつけて
JEMINIはエフェクトをOFFにしてもギターの信号が電気回路を通ってくるアクティブタイプ(と言うのか?)のペダルです。
Pinnacleにパッシブのギターを直で繋ぐか、アクティブ回路を通してから繋ぐかで音が変わってしまいます。
これ、きっとインピーダンスの違いなんですがここでは割愛します。
詳しくはGoogle先生で調べてみてください。
この症状はJEMINIとPinnacleだけではなく、Z VEXのFazz Factoryでも確認したことがあります。
この時はFazz Factoryの前段にバッファ内蔵のボリュームペダルを繋いだのですが、ただでも使い難いFazz Factoryが、もう音が潰れて何だか判らないほどになってしまいました。
Fazzは回路の都合上、特にインピーダンスの違いに弱いようです。
基本はギター直
当たり前の話しかもしれないけど、ペダルはギター直で繋ぐのを前提に作られていると思うんです。
特にコンプレッサーや歪み系は、それが普通かと。
どちらもインピーダンスの変化に音の変化が伴いやすいのでしょうね。
空間系のペダルは接続順が後の方になることが多いからなのか、そういう音の劇的な変化に出くわした事がありません。最初からそういう(ペダルの後に繋ぐ)設計なのでしょう。
もちろんギター直でもちゃんと動くものが多いと思います。
繰り返しになるけど、歪み系は要注意です。
とにかく音が変わる。
JEMINIとPinnacleの例で書いた通りですが、繋ぎ方を間違えると使える/使えない位の差が出てしまうこともあると思います。
それが悪い訳じゃない
ギターに限らず楽器全般の話しですが、
じゃあ、音が変わったらいけないのか?と言われたら、それはNOです。
結果、音が良ければOK。
世の中にはバッファーやブースターなんてペダルや仕組みもあって、一番最初からアクティブ回路を通すのも有益なんです。
そこでペダルの音が変わる。
それも折り込んで音作りする人もいるでしょう。
ただ最初に書いた通り音を聞きたい環境によって、それを良しとするか否か判断が変わります。
ペダルのテストや複数台のペダルの音比べをする時には、そういう繋ぎ順で音が変わるのを知っておかないと間違った判断をしてしまう、という事です。
面倒でも繋ぎ変えよう
フリーザトーンの林さん、こんな風につぶやいています。
フリーザトーン・今日のつぶやき(109)エフェクターを比較する際には、ループ回路がトゥルーバイパス・タイプのスイッチング機器の使用をお薦めします。厳密に言うとトゥルーバイパスの接点を通過するので、同じ条件での比較になりませんが、直列に接続しての比較よりは、正確に比較ができます。
— 林 幸宏 (Yuki Hayashi) (@yhayashifrtt) June 23, 2012
スイッチャーとかループスイッチなど持っていれば良いのですが、持っていない人も方が多いですよね。
もし持っていても、テストの為だけに繋ぐのが面倒だって人も多いはず。
一番良いのは、試奏時に試すペダル単体で繋ぐ事。
これでしょう。
これだったら繋ぐ準備の面倒も少ないしね。
楽器屋でも可能だし。
確かに直列に繋いでパチパチとスイッチを切り替えて音を比べるのは、音の比較はし易いのはわかります。
私もその方法でよく試奏をします。
でも、しっかりと音を確認したい時は、単体で繋ぐのをオススメしますね。
そうする事によって、ペダルの実力が判ると思います。